ゴリラの社会科

授業で扱ったことをあげていきます。

ヒトがサルと別れた日――人類の誕生

 

1.人類の誕生を問い直す

ヒトは「サル」から進化した。これは現代の常識である。

 

しかし,いまから約150年前のキリスト教圏では全く異なる考えが常識だった。この世の生き物のすべては,神様がこの世の始まりのときに,七日日間のうちに作り上げたものである。そして神は,アダムをそしてそのあばら骨からエヴァを作った。これは過去の常識である。

 

「常識」に「なぜそうなのか」「それはどのようなものか」と問いかける。これこそが学問の根本的な問いかけである。そうであるならば,ヒトはサルから進化したという常識に,「それはどのようなものか」と問い直すことからはじめなければならない。

 

ヒトはどのようにして生まれたのだろうか。

 

2.最古の人類と直立二足歩行

Google earth pro

広大な大地が広がるアフリカ大陸。このアフリカ大陸で人類は生まれた。

中学校の教科書にはこうある。

 

現在知られているもっとも古い人類は,今から約700万年から600万年前にアフリカに現れた猿人で,このときにはすでに後ろあし(足)で立って歩いていたと考えられています。*1

 

帝国書院『中学社会科地図帳』

この最古の人類は,2001年,アフリカのチャドで発見された「サヘラントロプス・チャデンシス」である。名前の意味は「チャドで見つかったサヘルのヒト」である。

wikipedia「サヘラントロプス・チャデンシス」

彼は男性であり,頭と背骨との接続部分である大後頭孔といわれる穴が頭蓋骨の下にあることから,直立二足歩行をしていた可能性が高い。このことからチンパンジーとヒトとの共通祖先から分岐した直後の「最古の人類」として位置付けられることになった*2

 

このように,直立二足歩行は人類とそれ以外(類人猿)とをわける本質的な違いとされている。なぜこれが本質的な違いになるのだろうか。

 

もちろん,ほかの動物でも2本足で歩く種類はいるし,特に霊長類の多くは上手に2本足で歩くことができる。しかし,人類の直立二足歩行は,腰と膝を伸ばし,頭が足の真上に来る独特なものである。不思議なことに,今のところ人類以外に直立二足歩行をする動物はいない。そのため,この特徴を人類とそれ以外をわける作業仮説として,腰と膝を伸ばす直立二足歩行は人類の系統だけ,ととりあえず考えている*3

 

そしてこの直立二足歩行で,人類とそれ以外とを分けるという考え方は,1974年に彼女を発見したことに遡る。

国立科学博物館。ソース忘れました。

ルーシーである。およそ400万年前に登場したこのアファール猿人こそが,直立二足歩行で歩く人間にしかない特徴を備えていたのだった。

 

なぜ彼女が直立二足歩行をしていたとわかるのか。骨盤の形を見てほしい。

本庄敬 1995: 46

4本足で歩くチンパンジーの骨盤は縦に細長いのに対して,アファール猿人の骨盤は内臓の重みを下から受け止めるように,横に大きく広がった器のような形をしている。この骨盤の形や大腿骨との接合部分などから,ヒトがサルから分かれたとき,最初に現れた特徴は,脳の発達や道具の使用ではなく,直立二足歩行であることがわかったのだ。*4

 

人類はなぜ直立二足歩行が進化したのだろうか。

 

3.進化の舞台

なぜ人類は直立二足歩行へと進化の舵を取ったのだろうか。これは人類の進化における最大の謎である。そこでまずは,人類が「どこ」で進化したのかを探ってみよう。

 

人類はどこで進化したのか。

(1)イーストサイドストーリー

かつて,フランスの人類学者イブ・コパンによって,いわゆる「イーストサイドストーリー」という仮説が唱えられた。この仮説の要点は「人類はアフリカ大陸西部の乾燥した草原で進化した」というものである。現在では誤りとされており,本人もすでに撤回を表明している。簡単に紹介しておこう。

 

およそ1000万年ほど前から,アフリカの大地は,地球内部の巨大なエネルギーによって,大きな変化の真っただ中にあった。この地殻変動は,偶然にもアフリカ大陸の真下で起こり,大陸の東側の大地を1000m以上も押し上げたのだった。そして500万年前ごろ,いわゆるアフリカ大陸東部を南北に貫く「アフリカ大地溝帯」が形成された。この大地溝帯こそが,人類とチンパンジーの運命を分ける原因となったとされた。

大西洋の水蒸気を含んだ偏西風が大地溝帯の山脈にぶつかり,西側に多くの雨を降らすようになる一方で、山脈の東側の地域には雨雲が届かなくなり、乾いた風による気候の乾燥化が進んだ。その結果、西側の類人猿は樹上生活を続けることができ,チンパンジーやゴリラに進化した。一方で,東側は森林地帯からサバンナへと移り変わり、森に高度に適応していた類人猿の祖先は絶滅していった。ところが,人類の祖先は、気候変動以前に永らく行っていた森での暮らしのなかで、直立二足歩行に欠かせない筋肉を発達させていたと考えられ(※類人猿の骨盤の化石から推定)、この能力が結果的幸運を招く形で、平原を効率よく歩き回るという新しい生活様式への適応を可能にし、直立二足歩行をする人類が誕生した。*5

 

以上が「イースト・サイド・ストーリー」のあらすじである。人類誕生を乾燥したサバンナへの適応としていることから「サバンナ説」と言い換えることもできるだろう。しかし,一見するとユニークなこの仮説は,サヘラントロプスが大地溝帯の西側のチャドで見つかったことで破綻した。そして研究が進むとともに,彼がサバンナではなく,生活圏に森林がある環境で生活してことも明らかになっていった。サヘラントロプスは,人類の誕生を大幅に更新するとともに,「サバンナでの生活に適応するなかで直立二足歩行を進化させていった」という仮説をも打ち砕いたのだった。

 

(2)欠点を補う疎林という環境

人類だけが直立二足歩行を進化させてきたということは,人類以外の動物たちは直立二足歩行への進化を避けている,と言い換えることができる。この事実は,直立二足歩行に大きな欠点があるからだと考えられている。その欠点とは走るのが遅いことだ。

 

日本で初の9秒台を記録した桐生選手。このとき,毎日新聞からこんな記事が出た。

「桐生9秒台」『毎日新聞』2017/9/9

人間界最速のウサイン・ボルトでさえほとんどの動物に負けてしまうくらい,人間は遅いのだ。そう考えれば,多くの動物が直立二足歩行を進化させてこなかった理由がわかるだろう。もし草原を舞台に二足歩行を進化させてしまったら,たちまち四足歩行の肉食動物に襲われてしまう。サバンナ説は,ここでもまた破綻してしまうのである。

 

だが,どんなに短距離走が遅くとも,木があれば逃げることができる。そう考えれば,サヘラントロプスの彼が草原ではなく疎林で進化したことにも納得がいく。言い換えれば,直立二足歩行は木のある環境でしか進化しないのである。それでは,ほかにも人類が疎林で進化したことを示す証拠はないのだろうか。

 

人類はどのような環境で進化したのか。

 

(3)化石から初期人類の生活環境を探る

これまで見てきたように,人類は生活圏に森林が入り混じった「疎林」で生活していたことがわかっている。すなわち,人類は木から降りてもまだ森林の外には出ていなかったのだ。

 

先ほど紹介したが,人類最古のサヘラントロプス・チャデンシスは,森林にすむ陸上動物と魚やカワウソなどの水生生物の化石と一緒に発掘されている。だからこそ,森林がなくなった草原で進化したという仮説は成り立たないと考えられるようになった。

 

こうした初期人類の生活を環境をより具体的に示してくれる人類がいる。サヘラントロプスから少し時代は下るが,ほぼ完全な全身骨格が発掘されているラミダス猿人,アルディピテクス・ラミダスである。約450万年前と人類の全身骨格として最も古い彼女はアルディと名付けられた。

WIRED HP「最古の「人類の祖先」はルーシーではなくアルディ(ラミダス猿人)」(2009.10.02)

彼女は,1994年,アメリカのホワイトと日本の諏訪元(すわ・げん)らによって,アフリカのエチオピア,アワシュ川中流で発掘された。そこから約15年の歳月を費やして全身骨格が復元されたのである。

更科 2018

このほぼ完全な全身骨格の復元によって,次の4点が明らかになった。

  • 「土踏まず」がないことから,あまり歩くのは上手ではなかった。
  • 親指が他の四本指と向かい合い,物をつかめるようになっており,樹上生活に適していた。
  • 腕が脚に比べて長く,樹上生活に適していた。
  • 骨盤の形が直立二足歩行と樹上生活のどちらにも適したものである。*6

以上の4点から,アルディピテクス・ラミダスは直立二足歩行はしていたけれど,樹上生活にも適した生物であったことがわかる。このように骨格の復元は,初期人類の住処が生活圏に森林がある疎林だったことを示唆している。

 

そして,彼らと一緒に周囲から発掘された化石が,この疎林説を補強していく。

  • 森林性の動物,昆虫,植物の化石が一緒に産出された。
  • 同位体比からラミダス猿人が森林性の植物を食べていた。
  • 歯の形を調べると,臼歯が小さく,エナメル質も薄く,それほどすり減った後も見られないことからやはり,森林性の植物を食べていた。*7

以上のことから,人類への進化が「どこ」で起きたのかが明らかになった。

初期人類は基本的には森林や草原もある疎林を中心とした生活を営んでおり,そのことから人類への進化もこの疎林を舞台に起きていたことがわかる。

 

それでは,疎林を中心とした生活圏で人類は,どのようにして直立二足歩行へと進化していったのだろうか。

 

4.争いをやめた人類と直立二足歩行

(1)二足歩行の練習と犬歯が縮小する社会形態

舞台を人類誕生の地アフリカへと戻そう。赤道付近に注目してほしい。

帝国書院『地図帳』: 41-2

アフリカの森林(2019年6月12日撮影、資料写真)。(c)Moise GOMIS / AFP

そう。どこまでも続く深い森。熱帯雨林である。

現在,地球上に存在する生物のなかで,私たちホモ・サピエンス(現世人類)に最も進化系統で近い位置にいるのは,チンパンジーヒトで分類でいうとパン属になる。このパン属にはチンパンジーボノボ(別名ピグミーチンパンジー)の2種類がいる。

進化的には人間とチンパンジーの共通祖先がかつて存在し、それが600~700万年ほど前に分岐して、一方がヒトへと進化する。もう一方がパン属へと進化し、その中でチンパンジーボノボに枝分かれしたのだ。つまりヒトとチンパンジーの遺伝的距離は、ヒトとボノボのそれと同じ。その次に近いのがゴリラ、次いでオランウータンとなる。

古市剛史「ヒトが『ボノボ』から学ぶこと」ミツカン水の文化センターHP

チンパンジーは人間と98.7%までDNAが一致していると言われている。そして人間とは共通祖先Xから約600~700万年前に分かれた近縁種である。人類がどのように直立二足歩行になったのか。この最後の問いにチンパンジーを手がかりに迫っていこう。

wikipediaチンパンジー

ご存じの通り,チンパンジーも短い時間であれば2足歩行をする。しかし,使われている筋肉や骨の形に目を向けると,直立二足歩行に近い動きは,地上を2本足で歩いているときではなく,樹上生活に隠されていた。直立二足歩行には,腰の部分にある中殿筋という筋肉がよく使われている。この中殿筋は2本足でバランスよく歩くためには欠かせない筋肉である。

 

片足をあげたとき,上げた足の方向に倒れようとする骨盤を反対側の中殿筋が引っ張り上げることで,バランスを保っている。したがって,高齢などの理由により中殿筋の力が低下すれば,下の図のように倒れてしまうのだ。この図の左が人類,右側がそれ以外と捉えてもらっても構わないだろう。

 

関節の広場HP「股関節のはなし」

この中殿筋は,チンパンジーが4本足で歩いているときにはほとんど使われていない。しかし,木の幹を垂直にのぼるとき盛んに使われていることがわかった。さらにチンパンジーが木の枝からぶら下がるとき,背骨がまっすぐに伸びていることもわかってきた。このように,樹上生活を営むチンパンジーの日常の動きには,直立二足歩行の動作との間にいくつもの共通点があったのだ。*8

 

ここから人類が進化する前の共通祖先Xの段階から,地上に降りて移動したり,そこから別の木の幹に登ったり,木の枝やつたにぶら下がったりする生活の中で,知らず知らずのうちに直立二足歩行の準備が進んでいたことがわかるのである。準備はできた。さあ,そろそろ進化の時間である。

 

チンパンジーと人類を比較したとき,直立二足歩行と並ぶ人類に最も基本的な特徴は,犬歯の縮小である*9

 

チンパンジーには円錐形で少し反り返った犬歯=牙がある。この牙を使って,威嚇したり,噛みついたり,攻撃に使う。群れ同士でも,群れの中でも,オス同士の争いは激しい。

上段がチンパンジー,下段がラミダス猿人。左がオス,右がメス。Suwa(phys) – Statistical methods used to estimate when canine teeth shrunk in modern humans(2021)

上の写真からもわかるように人類はチンパンジーと異なり,牙が大きく縮小している。人類は武器を捨てたのだ。なぜ人類は牙を捨てたのだろうか。それは人類が少なくとも仲間内での威嚇や殺し合いをしなくなり,武器を必要としなくなったからと考えられる。

 

仲間内での威嚇や殺し合いの原因は主にメスの奪い合いである。実際,チンパンジーは多夫多妻的な群れをつくることで知られており,メスをめぐってオスが激しく争う。したがって,人類の犬歯が縮小したということは,メスをめぐってオスが争うことが少ない一夫一婦制かそれに近い社会形態をとっていたことが予想される。

 

次の表は,人類とチンパンジーボノボの特色について,犬歯と社会形態の視点からまとめたものである。

 

ヒト

チンパンジー

ボノボ

犬歯の大きさ

小さい

大きい

大きい

犬歯の形状

ひし形

円錐形で少し曲がったもの。牙

円錐形で少し曲がったもの。牙

社会形態

一夫一婦制

多夫多妻制

多夫多妻的な群れ

⇒メスをめぐってオスが争う

多夫多妻的な群れ

⇒メスをめぐってオスが争う

発情

発情期はない

特定のオスとの結びつきを強める

5~10頭のオスに対して1頭のメスが発情する。

2~3頭のオスに対して1頭のメスが発情する。

争い

???

激しい。殺し合いに発展する

性器を擦り合わせることで緊張を解き和解する

*10

このように,人類とチンパンジーボノボの違いを犬歯と社会形態の視点からまとめると,人類が犬歯を縮小する理由が見えてくる。すなわち,発情期がなく,特定のオスとメスが親密な関係を結ぶ社会形態をとることが争いのない集団と犬歯の縮小をもたらしたということになる。

 

アフリカにいた数種の類人猿の中で人類は一夫一婦制かそれに近い社会形態を作るようになった。メスをめぐって争う機会が減少したことで仲間を威嚇したり殺したりする武器を捨てたことで,チンパンジーとは別の道を歩むことになったのだ。

 

犬歯の縮小からわかる社会形態と直立二足歩行はどのように結び付くのだろうか。この謎に迫るのが,「食糧運搬仮説」である。

 

(2)食糧運搬仮説

人類は食糧が豊富な森林ではなく,草原もある疎林を住処とした。これは疎林を選んだのではなく,森林での食料獲得争いに負け,疎林を選ばざるを得なくなったと考える方が自然である。人類は森林を押し出された負け組だったかもしれない。その負け組の中でも何とか生き残った集団がいた。それが人類である。

 

豊富な食糧があると森林から押し出された人類は,食料を求め地上に降りた。食糧運搬化説とは,「オスが,メスや子のために食物を手で運ぶために,直立二足歩行を始めた」とする仮説である。これに証拠はないが,現在最も確からしい仮説とされている。この食糧運搬仮説の間接的な証拠が「一夫一婦制かそれに近い社会形態」である。

 

多くの類人猿がとる多夫多妻的な群れと人類の一夫一婦制の大きな違いは,オスが自分の子を認識できるか否かという点である。一夫一婦制の場合,直立二足歩行により食物を運び,生存を有利にした子は自分の子である。その子が生き延びて繁殖に成功すれば,さらに直立二足歩行する個体は増えていく。これは厳密な一夫一婦制を必要としない。群れの子にも食料を運ぶが,自分の子にはより多くの食料を運ぶ場合でも可能である。その点で多夫多妻的な社会のなかから,一夫一婦制かそれに近いペアが形成されるような中間的な社会を経由したとされている。

 

自然選択による生存と繁殖に有利な形質が広がるという原理のなかで,一夫一婦制かそれに近い社会形態が自然選択による子から親への形質遺伝を加速させ,直立二足歩行を進化させていった。これが食糧運搬仮説のストーリーである。*11

 

5.まとめ

ヒトがサルと別れた日。これは比喩であり,たった1日で進化したわけではない。しかし,並行する直線のどちらかが1度でもずれれば,その後2つの直線は大きく離れていくように,少しの形質の違いや住む環境の違いが,直立二足歩行を進化させた人類を生み出した。

 

乾燥化が進むアフリカで,人類の先祖となるものたちは,食糧豊富な森林から樹木がまばらな疎林へと押し出されていた。そこでは樹上生活を中心としながらも,地上を移動したりしながら,森林性の食物を食べる生活を営んでいた。彼らははじめ,多夫多妻的な群れをつくりながらも徐々に一夫一婦制に近いペアで繁殖子育てする社会を作り上げていく。ペアを作ることでメスをめぐってオスが争う機会が減り,仲間を傷つける牙は必要ではなくなった。また決して豊かではない食料をより多く運ぶ個体は,直立二足歩行で前足を「手」に変えていた。自然界の掟である自然選択は,直立二足歩行を取る個体が形成するペアとその子の生存と繁殖を高めていき,徐々に直立二足歩行を可能にする形質が広まっていったのであった。

 

これがヒトがサルから別れた日。すなわち人類誕生のプロセスである。

 

6.エピローグ

その後,人類は直立二足歩行の進化を進め,やがては現代人類とほぼ同じ姿勢で歩くことができるようになった。

ホモ・エレクトス

これは11歳の少年といわれるホモ・エレクトスのトゥルカナボーイである。160万年前の人類は,ほぼ現代人類と同じような姿勢で歩くことができたのである。

直立二足歩行の進化は,やがて現在のさまざまな人間的特徴を生み出すきっかけとなった。まず自由になった前足は物を持ってあやつる「手」となった。初期人類は,親指の骨を成長させていくことで,筋肉が発達し,ついには石器を作るまでになった。さらに,体をまっすぐ立てることによって,音を反響する空間が喉周辺に広がり,言葉を話すことができるようになった。

そして最後に脳の発達である。この頃になると,猿人の脳が400㏄と推定されるのに対して,倍以上の900㏄もあったことがわかっている。人間の象徴ともいえる大きな脳の発達は,直立二足歩行があって,指の進化や喉の進化など,体の進化があってはじめてもたらされたものであった。

 

人類は仲間との争いを必要としない社会をつくりあげることで進化した。彼らが今のわれわれの世界をみたとき,どう感じるのだろうか。

「おいおいホモ・サピエンスさんよ。俺らの代がオンナをめぐって仲間同士で争うのはもうやめようってしたから人類になったのにさあ。お前らの代はなにしてくれてんの?」

こんなことをつぶやいてたりして。

 

ブックガイド

はじめての1冊に

更科功,2018,『絶滅の人類史――なぜ「私たち」が生き延びたのか』NHK出版.

https://amzn.to/3GvG1oA

三井誠,2016,『人類進化の700万年――書き換えられる「ヒトの起源」』講談社

https://amzn.to/3G81Uc9

篠田謙一,2022,『人類の起源――古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』中央公論新社

https://amzn.to/3IlCSZs

参考文献

上記に加えて,

帝国書院編集部,2022,『中学社会科地図帳』帝国書院

https://amzn.to/3WAV71A

諏訪元,2009,「人類進化Q&A」『アフリカの骨、縄文の骨――遥かラミダスを望む』東京大学総合研究博物館HP

http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DKankoub/Publish_db/2006babj/09-01.html

本庄敬河合雅雄監修,1995,『生命――40億年はるかな旅〈5〉ヒトがサルと別れた日 ヒトは何処へいくのか (まんがNHKスペシャル) 』

https://amzn.to/3CcAGzX

「桐生9秒台 アフリカゾウとほぼ互角の速さ」『毎日新聞』2017/9/9

https://mainichi.jp/articles/20170910/k00/00m/050/031000c

最古の「人類の祖先」はルーシーではなくアルディ(ラミダス猿人) | WIRED.jp

古市剛史,2013,『あなたはボノボ,それともチンパンジー?』朝日新聞出版.

――――,「ヒトが「ボノボ」から学ぶこと――コンゴ川を渡った平和主義者たち」

https://www.mizu.gr.jp/images/main/fudoki/people/058_furuich/058-furuichi.pdf

 

sicambre.seesaa.net

Bob Yirka , 2021, Statistical methods used to estimate when canine teeth shrunk in modern humans

大石航樹,やまがしゅんいち,2021,「ヒト科の犬歯、450万年前に「縮小し始めた」と推定 東大研究」『ナゾロジーHP』

https://nazology.net/archives/100834

Statistical methods used to estimate when canine teeth shrunk in modern humans『Phys.org』

https://phys.org/news/2021-11-statistical-methods-canine-teeth-shrunk.html

www.nikkei.com

 

画像引用

AFP「アフリカ熱帯植物種、3分の1が絶滅危機に 研究」(2019年11月21日 10:44 発信地:ワシントンD.C./米国)

https://www.afpbb.com/articles/-/3255901 

関節の広場HP「股関節のはなし」

www.hiroba-j.jp

*1:『新しい歴史』東京書籍,令和2年検定

*2:更科,2018,『絶滅の人類史――なぜ「私たち」が生き延びたのか』NHK出版新書

*3:諏訪元,2009,「人類進化Q&A」『アフリカの骨、縄文の骨――遥かラミダスを望む』東京大学総合研究博物館HP

*4:本庄敬 1995: 46

*5:更科 2018:

*6:更科 2018

*7:更科 2018

*8:本庄敬 1995

*9:更科 2018

*10:更科 2018から筆者作成

*11:更科 2018