ゴリラの社会科

授業で扱ったことをあげていきます。

日本の河川の特色――中学社会科地理の授業 日本の地域的特色

 

1.日本の河川は短くて急流

明治時代に日本の川を見た外国人技術者が,「これは川ではない。滝だ」といった。この話は社会科教師ならよく知っている話だと思う。

 

こんな逸話を使いながら,社会科では日本の河川の特色を考えていく。教科書にも掲載されている日本の河川と代表的な河川の比較の図と組み合わせて,日本の河川が短くて急流であるということを読み取る授業をしてきた。

「第3章第1節 洪水を受けやすい国土」『水害対策を考える』国土交通省HPより

そして流れが急であることはどんな自然災害が予想されるか,と生徒に問いかけ,洪水や土石流などを指摘して終わっていた。

 

2.洪水時と平常時の流量比較

高校地理では「河況係数(過剰係数)」という語句を学習するらしい。

これは1年間の最大流量と最小流量の比を表す。例えば,河況係数が10であれば,最も水量が少ない時の10倍の水が流れる河川であることを示す。

 

この指数で日本の河川をみてみると,驚きの数値がでてくる。

 

利根川 930

木曽川 870

吉野川 5060

 

ライン川が18,テムズ川が8,ドナウ川が4という数値と比べると,圧倒的な差を示す。

 

もう少し一般的な指数としては,洪水時と平常にの流量比較があげられる。これは『国土交通白書』2016に掲載されている。

 

これによれば,利根川が100倍,木曽川60倍,淀川30倍というなかで,テムズ川8倍,ドナウ川4倍,ミシシッピ川3倍と,これまた圧倒的な差が見て取れる。

 

 

「第1部第1章第2節 経済動向とインフラ整備」『国土交通白書』2016: 34

こうした図を活用して,生徒に日本の河川の特色から自然災害や気候の特色と関連付けていったり,総合的な学習や地域調べの治水事業につなげていくことが,ワンランクアップの授業につながるのかと思う。

もしくはこの図を使って,なぜ日本の河川は洪水時と平常時でこんなにも差が生まれるのか,という問いから地形や気候などの視点から考えていく授業でもいいかもしれない。

 

参考文献

𠮷水裕也,2022,「川か滝か? 流量変化の大きい日本の河川(地人相関)」『社会科教育』2022年11月号: 112-113

 

 

『水害対策を考える』国土交通省HP

https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/bousai/saigai/kiroku/suigai/suigai_3-1-2.html

『国土交通白書』2016

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h27/hakusho/h28/pdf/np101200.pdf