戦争の時代におくる平和教育の意味は?
日本では義務教育課程において,「戦争は悪いこと」「平和を第一に考える」という教育を受ける。
一方で,実際の戦争を眼の前にしたとき,こうした「教訓」を繰り返すだけでいいのか,という疑問が浮かんでくる。
こうした問いに,翻訳家の奈倉有里は次のように答えている。
「戦争は悪い」「平和が大事」というのは簡単な言葉のようで実はものすごく大事なことなんです。なぜロシアが戦争をしているかといえば,とにかく「戦争は悪い」という声を徹底的に潰してきたからです。
また兄弟であり,『同志少女よ、敵を撃て』でデビューした作家・逢坂冬馬も次のように述べている。
「偉大な勝利」に幻惑され,「戦争は良くない」という理念が共有されない問題は米国にもあり,日露戦争後の日本もそうでした。「戦争はよくない」という理念を共有できる空間は希少で,守るべきものなのです。
こうした指摘を踏まえたうえで,自分の教育を振り返るとき,必ずしも「戦争は悪い」と繰り返しているわけではないが,一方で,
「戦争は悪い」という声を徹底的に潰してきた。
「戦争はよくない」という理念を共有できる空間は希少で,守るべきものです。
という発言を生徒から引き出していくような授業ができるかといわれれば,やったこともないし,できたこともない。ただこれを読んで,いつかこんな指摘ができるように授業を組み立ててみたいと思いました。