教師の仕事術
働き方改革の流れとそれに戸惑う初任
川端も指摘しているが,昨今,教師の働き方改革に関する様々な本や論文,記事,SNSアカウントでの発信を目にする機会が増えた。そのせいなのだろうか。私のような3年目教師にとって,いくつかの違和感というかが芽生え始めている。
1.世の中の仕事と教師という仕事は同じか?
世の中の会社がさまざまな働き方改革を進めているのはいいんだけど,それって教育現場に当てはめようとするとうまくいかないことが多々あるのではないか。大学院では多分野の概念をいいとこどりしようとしてもうまくいかないことがあった。そう考えれば,ビジネス書や自己啓発でいわれるような働き方改革は,職場での軋轢をうむし,何より目の前の生徒を幸せにしないのではないか。
働き方改革に逆行したいのではなくて,「教師」の働き方改革を考えるべきだと思う。
2.ベテラン教員と若手教員もそろって働き方改革をしなければいけないのか。
若手の教師にとって,働き方改革を進めるのはいいんだけど,それって,これから教師としてキャリアを歩む自分にとって失うものってないのかな。そんな疑問が生まれる。やはり授業準備は一番時間がかかるし,時間をかけたい部分だ。けれど,悩んだり,準備したりすれば2時間かかることなんてよくある。そして1・2年生の地域調べ学習や3年生の地域づくり学習なんかは,1年に1回のイベントとして考えているが,これも自分が知ることや地域の人々に協力を要請したりと結構な重量がある。
若手教員からただのベテラン教員ではなく,頼りにされるベテラン教員になりたいとやっぱり思うから,どうしても自分の将来のためにも時間を使いたい。
3.時間をかければやっぱり生徒は伸びる気がする
なにいってんの。時間だよ、子供は時間。
斎木雄大(リリー・フランキー) /そして父になる
若手教師だからだろうか。やはり時間をかけること,もっと言えば細々としたものかもしれないが自分の軸をもって細々と声を変えたり,一つ一つのリアクションをすること,個別の働きかけをすることは,自分が今すぐやれと言われれば難しいけど,絶対に生徒の力を伸ばすことになると思う。だから私は空き時間にできるだけ,違う学年やクラスの授業に顔を出すようにしてる。もちろん,空き時間に授業準備しないわけではないが,ずっと職員室にいることもない。でもそうすれば,自然と出勤を早めたり,残業して授業準備や通信などを書くことになる。これってやっぱり間違ってんのかな?
教師の仕事術
こんな若手教師は,最近川端裕介の本を読むようになった。
そこには学校合った働き方を模索するために,次の問いに答えることが大切であると書かれていた。
・自分の幸せにつながるような働き方か
・自分だけではなく,家族,学校の子どもたちや同僚が幸せになるような働き方か
・自己啓発書や教育書やSNSで発信される内容を理想だと思い込んでいないか
・自分の仕事の優先順位は,学校で同意を得られているか
・未来の自分も納得できるような働き方をしているか
(川端 2021: 4)
「個別最適な働き方」と「協働的な働き方」で,学校や教育現場に合った働き方をみつけていく。こんな川端先生の本から,先輩の仕事術を盗んでいこうと思う。
参考文献
川端裕介,2021,『教師のON/OFF仕事術』明治図書.